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2010.10.09

江戸時代の蔵 復元の手法

P1000021 「天保九年の家」の蔵を復元している。この蔵は表題のごとく江戸時代にできた蔵である。隣接する古民家も増改築が繰りかえされ、私が訪ねた当初は蔵部分が見えていなかった。解体する中で隣接する建物の中から蔵が見えるようにした。敷地内に何棟も建物があるがこの蔵が一番古いものだ。

蔵以外の部分は色彩にせよ形状にせよ新たにデザインをし、機能を持たせるのだが、この蔵はこの家の由緒正しき歴史の象徴として、できるだけ原形に近い形で復元したいと思った。そしてその家と祖先の象徴である蔵を、新たに再生された部屋内から眺められる形としている。

痛んだ蔵の再生方法はさまざまある。

当初は全くわからなかったが、私自身、この12年、相当勉強もし、経験もしてきた。今回は痛みが激しく通常なら壁を落として構造補強をし、新たにやりかえる形にするのだが、今回、それでは昔のままの形状を残すことが難しいことがわかった。結果、手間がかかっても、昔ながらのやり方で復元する方法を選んだ。

土も生きている土と死んでいる土がある。それは経験でわかるようになる。土が死ぬ原因はほとんどが雨漏りと凍害だ。「土がしみる」という。

死んだ土を取り除き新しい土をつけて復元していく。蔵は構造的にも土の厚みで持っているようなものなので、土を削る時には相当気を使う。

写真は昨日、現場での大工と左官の様子だが、各職人と打ち合わせをし、意見を聞き、最終のデザイン、工法の決断をするのは自分だ。今でこそかなりの数の蔵を修復してきたので、ほとんど判断に迷うことはないが、当初はオロオロしたものだ。

やはり、この建築というもの「経験と実績」というものはとても大事だ。なんせ独立当初は、大学院を出、一級建築士免許も取得し、世界最大の設計事務所(日建設計)で7年経験を積んだといっても、コンクリートの建物しかやったことがないのだから仕方ない。素人と一緒だ。そこからが徹底した現場主義で勉強せざるを得なかった。

医者にも内科や外科があるように、同じ一級建築士でもなんでもできるわけではない。一応、全般はわかるが、内科の先生に外科の詳しいところはわかるまい。

それと同じで、私はもうすでに日建設計をやめて12年もの間、「古いものを治す」ことに特化し、専念してきた。いつの間にか相当に詳しくなった。大工と話してもまずこちらがわからない、知らないということはほとんどない。

大学と大学院で6年の教育を受け、その後かれこれ実務経験が20年近くになった。

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