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2010年12月 2日 (木曜日)

引き渡し

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「天保九年の家」の古民家再生が完成し、引き渡しを行った。先日、社内の内覧会も行い、お客様も数名ご案内させていただいた。

昨日、最後の一日は竣工写真を撮りながら一日建物で過ごした。最後の別れである。建築家はある意味悲しいものである。精魂込めて作り上げた自分の子供みたいな作品を引き渡さなくてはならない。当たり前のことだが、決して自分のものにはならない。今まで20年近くやってきて、自分のものになったのは、自邸と本社ビルくらいなものである。

だから、引き渡す前はできるだけ建物の中で一日を過ごす。風の通りや、光の落ち方、暑さ寒さ、景色の見え方、音の聞こえ方・・・・など。自分の判断が間違っていなかったかを確認するとともに、別れを惜しむ。

和室に座っていると南からの景色が実はものすごくいいことに今更気付いた(写真右)。春から夏にかけてとても綺麗な葉をつける柿の木(写真左)。冬場で緑がなくちょっとさみしいかなと思っていたが、よく見るとこの老木、なかなか渋い。雪見障子を閉めると木々の木漏れ日は影絵のように美しい(写真中央)。

今まで、数多くの物件を引き渡してきたが、引き渡す直前まで我が物のように歩いてきた現場が、もう自由には出入りさえできなくなる。いつものことだが、何度経験してもそのギャップがとても寂しく感じられる。建物が完成し、施主様からの期待に対する責任を果たすことができた、というほっとした気持ちと共に、とても複雑な気持ちになる。

施主様との関係も、途中は感情的にヒートアップすることもあるが、引き渡しが終わると、なんだか恋愛が終わった時のような気持ち?になる。

果たして、世の設計者の方はどのような感覚になられるのか?人のことはよくわからないが、私としては、とても複雑な気持ちになるのである。

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