« まごうことなき「野太い地松梁」が搬入されました。 | トップページ | 「総社の蔵」竣工写真をアップ。 »

2011年4月30日 (土曜日)

上棟:その私の考え方。

P1000009 P1000007 P1000008

4月29日大安吉日、上棟を行った。

最高のお天気で、事故なく無事に終了した。お昼はお施主様と一緒にお食事をいただきお祝いをし、潮の干満を見て棟をあげた。上棟は一大イベントであり、何度やってもいいものだ。設計者にとってもお施主様にとっても夢が形として見える第一歩であり、感慨ひとしおである。

上棟とはそういうものだと私は思っているが、最近ではブロックのようにパーツを組み合わせてできる家もあり、いつが上棟かわからない場合も多い。それに工期も3~4か月であっという間に完成する。

私の場合は、社員とお施主様が顔馴染みとなり、穏やかな雰囲気で長く濃いお付き合いを望む。ゆっくりと家造りに取り組みたいのだ。

今はどうだか知らないが、私が、世界最大の建築設計事務所「日建設計」にいた当時は、「物件をさばく」といった形で、大量の仕事をバタバタとやるということで設計者も余裕がなく、ビジネスとして仕事をするという、少し言い方は変だが、「乾いた」感じがあった。その反省でもある。ま、当時はバブルの余波もあり本当に忙しかったのが原因であろう。

独立してしばらくして仕事が増えてから、サラリーマン時代の名残で、バタバタと大量の仕事をしてきたが、ここ数年はじっくりと仕事をしたいと思ってそうしてきた。仕事を断ることも増えた。

特に住宅はその人の人生を大きく決定づける。良い住空間を所有しているかどうかは、かなりの割合でその人の人生の質を決めている。だからこそ、簡単にできるわけはないのだ。

私の場合は最低でも設計に半年~一年、施工に8カ月~1年以上かかるということで、暇と、お金と、精神に、ある程度余裕がある人にしか、私には仕事をお願いしていただけない。

カツカツとした人とは一緒に仕事をしたくない。お施主様と気持ちが一致していないといいものができたためしがない。だから少しでも違和感がある場合は、やめておく。自分にとってもお施主様にとっても不幸だからだ。

私はここ最近、いや、もうずいぶん長い間、それでやってきたし、大量の仕事をしようとも思っていない。少数の気の合う、私の考え方や、デザインを気に入って下さったお施主様に、自分の持てる能力の全てを出しきって、満足していただき、納得のできる物をじっくりと造っていきたいと思っている。

また、私は設計事務所出身でありながら、施工会社を一から叩き上げたわけだが、当初は社員もおらず、上棟などは大人数がいり、他の会社に外注したり、お願いしたりして、なかなか思い通りにならず、ずいぶん辛い思いをした。今は10人以上のスタッフが必要な上棟でも全て自社の社員でまかなえ、社員のみで上棟が行えるようになった。

これは私の強い意志でもあったし、いまだに全員が社員であり、同じ制服を着て、仕事をしている姿を見ると、独立当初の苦労したことを思い出し、感慨ひとしおなのである。

また設計のみやっている時は現場で考えが変わって変更したくなっても、お金や施工者とのからみであきらめざるを得ない場合が多々あった。施工を全て自社の社員で行うようになってからは工事費の中からお金の工面だけしておけば変更してもだいたいなんとかなる。私にとってはそれが一番いいことだ。

要はこの12年間は、自分が思った通りの物造りをするのに、一番やりやすい環境を一生懸命に造ってきたと言っても過言ではない。自分の考えだけで、人からのしがらみや制約をうけないという、サラリーマンでは絶対に不可能なことを。

今更ながら、「サラリーマンを辞めて本当によかった」と思う。勇気さえあればそれは可能である。当然、リスクと責任はサラリーマンと比べると比較にならない。が、得られるものも大きい。

だから私は自社の社員にも「実力=世の中で食べていくことができる本当の力」をつけて独立することを勧めるのである。そのために私が苦労し、頭を打ちながら身に付けたこと、知っていることは全て教え、応援する。厳しいが絶対に力はつく。

もちろん、実力を身に付けた後も当社で頑張ってくれたら、それに勝る喜びはないわけだが、自分がそうであったように、「独立したい」という願望を持った場合は、なんびとも、それをとめることはできない。

昨日の上棟でだいたい自分の考えは現実化されており、今後、理想通りのものができる強い予感がしています。

|

« まごうことなき「野太い地松梁」が搬入されました。 | トップページ | 「総社の蔵」竣工写真をアップ。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 上棟:その私の考え方。:

« まごうことなき「野太い地松梁」が搬入されました。 | トップページ | 「総社の蔵」竣工写真をアップ。 »