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2011.11.16

建築後100年以上経過した蔵を再生します。

P1000273 建築後100年以上経過した蔵を再生します。

蔵の再生はかれこれ30棟以上は優に経験しております。小さな修理を入れると50棟以上になるかもしれません。

昔、蔵は富の象徴であり、腰瓦を手間をかけて貼るほどに分限者(ぶげんしゃ=金持ち)と言われました。

再生をするたびに調査し観察するのですが、100年以上前の人の工夫やこだわりが見えてきてとても面白い。

漆喰の塗り上げ方や腰瓦の貼り方、棒漆喰のやり方にもいろいろとあり、地域性もある。蔵は壁の厚みでもっているようなもので、柱や梁は華奢なものが多い。構造としてはいわゆる梁や柱で形成されるラーメン構造と壁で耐力をとる壁式構造が合わさったようなものだと思っている。

壁厚は30センチ以上もある場合があり、屋根も昔はたっぷりと土を入れて葺いてあるので、まさに建物全体が土の塊だ。土自体が断熱材となり、冬はあったかく、夏は涼しい。夏の土蔵の涼しさは冷蔵庫のようだ。

その外部を漆喰や焼板で保護する。最高300年経った蔵を再生したことがあるが、結局土でできているため、数百年ももたせるコツは雨の侵入をどう防ぐかに尽きる。雨さえ入っていなくて、建設時、財と材を惜しまず造られたものは数百年の月日を経ても健在だ。またメンテナンスも大事だ。壊れたら放置せずに早めに治す。

まさに建物は歯と同じだといつも思う。病気は自然にしていても治ることもあるが、歯は治療しない限り、自然に治ることはまずない。しかも放置すればするほど、ひどくなり、治すのにより時間と費用がかかる。

田舎にいけば放置され朽ち果て、手を出せなくなった蔵を多く見かける。お金の問題が一番だが、なかなか修理されず、解体せざるを得ない蔵もたびたびある。解体は解体でこれまた土の量が半端ではなく、とても大変だ。普通の母屋を解体するようなわけにはいかない。修理しても手間暇かかる。

なんせ建築するときに費用がかかったものはそれに比例して修理の手間と費用がかかる。田舎に建つ立派な蔵はそれだけで日本の景観を引き立たせているので、そういうものをぜひ残したいと昔からずっと思って仕事をしている。壊してしまおうとする施主様にお願いをして、再生させてもらうことも度々だ。

古いものを治す仕事を長くしてきて、その家の栄枯盛衰を見る。先祖が大成功して大変なお屋敷を建てる。今も昔もなんら変わらない。成功すれば大きな家を建てる。単純な話だ。今でも繰り返し行われていることだ。

子孫が努力して維持できている家もあれば、没落し、せっかくのお屋敷も朽ち果てる場合もある。また数百年のうちに没落と繁栄を何サイクルか繰り返した家もある。

その歴史に思いをはせる時、人間の欲望や想いというものは何百年前も今もなんら変わってないことを感じるのである。

そんな想いの中、いつも実測し、調査し、写真を撮り、図面をおこし、いかに歴史ある目の前の建物を再生していくか考えている。

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