厳しい会社
最近は仕事は楽しくという風潮が主流だ。最近でもないかもしれない。けっこう私がサラリーマンをしていた大昔から、そんなことを言っている人もいた。学生の頃からそんなことを言ってる輩もいた。
でも私はそうは思わない。仕事は厳しくあるべきだ。妥協してはならない。ま、いいかではすまないのだ。喜びは出来上がった一瞬であり、そこに至るのは苦難の連続だ。それでいい。物を造るというのは創造の苦しみ、産む苦しみだ。考えて、考えて、考えての連続だ。
どの仕事も必ず途中、いまだに、現場で沈黙してしまうことがある。悩む。でも必ず着地させなくてはならない。そこを軽くあしらってはいけない。そこが正念場であり、ねじ伏せていかなければ「いいもの」などできるわけがない。
これは人生観の問題かもしれないが、人生は厳しい。それは当たり前のことだと私は思っている。戦前、戦中の日本を思うと、今の快楽と楽しさを追求する風潮は間違っている。
私のお客様は60歳以上の方が多いのでとても話が合う。人生にもまれ、苦労をし、あきらめずに努力されてきた方の話は重く、本当に説得力がある。話が軽くない。そして共感できる。
人間は軽くてはいけない。へらへらと笑う必要もない。きちんと自分を律し、厳しい仕事をしていれば必ずそれを評価してくれる人ができる。
うちの社員にもそれは伝わっていて、みな不要な無駄口は叩かない。でもちょっとうちの会社は違うよっていうプライドを持っている。
建築はたくさんの職種が関わる。一つでも駄目な職種があると完璧なものはできない。世の中に完璧なんてない、などという一般論で逃げてはいけない。ある基準以上にしないといけないというレベルがある。
それをやろうと思えば、なかなか大変だ。仕事は楽しく、なんて世間の風潮など信じてはいけませんよ。いい仕事する人間は厳しいですよ。職人も一緒。いい仕事をする職人で苦労してない人など見たことがない。一流の仕事師は皆厳しい。私はそういう人たちと仕事をしている。仕事よりプライベートを優先してるレベルでいい仕事などできるか。仕事は厳しい、それが当たり前だ。
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