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2013.03.13

古民家の定義

古民家とはどのくらいの年数が経過したものを言うのだろうか。

私はだいたい80年を目安としている。70年くらいが微妙なラインだと感じる。60年程度だと、確かに古い民家には違いないが、梁の色合い、造りなどが若い感じだ。だいたい斜材が入っていると、少し新しい建築になる。

目安は過の大戦前後だろうか。戦前の建物は、古民家と称したいものがほとんどだ。裏庭の木を切って建てた、とか、とにかく地産地消のものが多い。移築などもけっこうある。材の使い回しだ。

これが戦後になると、明らかに外材を使ったり、合板に近いものが混じってくる。本当にこの戦前、戦後でドラスティックな変革があったのがよくわかる。

戦後の建物は、これから80年以上経過しても、私の言うところの古民家とはなりえないと思う。合板、集成材、断熱材、アルミサッシュで構成された建物は古くなれば、「ボロ」になるだけ。全て隠すか、やりかえるしかない。

本物は年数が経過し、古くなっても私には「ボロ」には見えない。汚くも見えない。歴史が刻まれ、味が出る。渋さが増す。私の場合、古いものが好きでやっているので、施主様にはばからず、現地調査では「いいですな~」「ほ~これは最高ですな~」など溜息しごくで、全然手が動かない時も多い。その間スタッフはしゃかしゃか実測をしてくれる。

たまに施主様自身が、こんな汚い所をすみませんとおっしゃられるが、お気遣い無用、こちらは全く宝の山にしか見えてないのだから楽なもんだ。

おかげざまで独立当初は仕事を探して歩いたが、今は常時、待っていただいているお客様が多数いらっしゃる。

こうなったら、できるだけ施主様との相性が良く、この人のためならと思えるお施主様の仕事だけするようにしている。

一つのことを追求し、古いものを治すことに特化してやってきたのだが、何か戦略があったわけでもなく、自分が興味がある方へ進んできただけだ。

また設計事務所出身にも関わらず、設計だけではもの足りず、施工を人に頼むのではなく、自分の会社ですべてやってきたのが私の誇りだ。若いころは設計をずっとやってきたが、施工まですべてを自分でコントロールできると本当に自分の思ったものができる。現場ほど面白いものはない。

いわゆる、新しく綺麗な建物をやってみたいと思い、そういうものもやってみた。確かにそれはそれで面白い。でも若い人を相手にそういうものをやるのより、60を越えた方々と、古いものをじっくりよみがえらせる仕事をした時の方が、充実感があるし、楽しかったのだ。

はっきり言って、私は高齢者が好きだ。幼いころ、若いときを通してずっとそうだ。お年寄りと話していると若い人と話している時よりどんどん時間が過ぎる。

仕事なので早いペースでいろんなことをたくさんこなしてきたが、今となってはそんな嫌なことをする必要も意味もなく、じっくりと時間と労力をかけて少しづつ、施主様との会話も楽しみながら、いいものを造っていきたい。

これからもどんな人と、どんな古民家に出会うのかとても楽しみだ。

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