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2013.05.29

「土間のある家」古民家再生~その3~陽のあたる場所へ

9照明を落とすと、ピアノが浮かび上がった。

ここでどんな演奏会が開かれるだろうか・・・。

古民家を再生する、ということは、陽のあたらなくなったものを、再び「陽のあたる場所」にするということだ。

    ~Place In The Sun~

古くなり、時には家族からも見放されたかけたものを再び表舞台へと上げる。

ここで再び、新たな家族の歴史が始まる。

お施主様に、「予想していた以上のものが出来ました」と言って頂きました。建築家にとってこれ以上の称賛の言葉はありません。

お施主様の言われた通りすればトラブルはない。しかし、それはそれ以上でもないし、以下でもない。ただの請負だ。

お施主様の想像を超えたものが提供できて初めて、建築家は建築家足り得るのだと思っている。

独立・起業し、設計から施工まで、全てを自分の手で行うようになって15年、今、再確認する。

やはり「設計が一番大切だ」と。

設計でその建物の出来栄えの8割は決まってしまう。設計者にセンスと能力がなければ、いくらいい職人を入れようと、現場が頑張ろうといいものはできない。それが現実だ。

よい職人だけで優れた空間ができるなら、建築家という職業は必要ない。どんなに優れた演奏家を集めようが、オーケストラには指揮者がいるのだ。

私はこの年になって、改めて思う。

「日建設計」・・・世界最高レベルの設計を、100年以上に渡って提供し続けている設計事務所・・・で、設計の考え方、流儀を学んだことが、今の自分を形成していることに深く感謝している。

現在まで60棟近い古民家を再生させてきた。その全てが経験となりノウハウとなっている。

人間にとって住まいとは、生活のクオリティそのものだ。良い空間で生活できることは、その人の人生の質を高める。逆を言えばそれに失敗すればその人の人生の質は下がる。

考えてみれば恐ろしい職業である。そして多くの方にとってそのチャンスは一生に一度しかない。

そのためにお施主様は、一生かけてお支払いになる、または一生をかけて貯蓄された大きなお金を私に託される。

その責任と重圧はその方の人生を半分託されるようなものであると思っている。

だから建物が出来上がった時、私の場合、喜びよりは安堵する気持ちの方が強い。「責任を果たすことができた」という。しばらくは放心状態になる。

まだ、若く、力がないとき、悔しい想いをした。一生懸命やっているのに、お施主様の想いは痛いほどわかっているのに、自分に力がないために、思ったものができない。

一生懸命やっているなんて、全く言い訳にならない。我々は物を造っているのだ。出来たもの、結果が全てなのだ。

世の中の役にたてる人間になるために、私を信頼してくださった方を裏切らないために、期待に応えるために、必死で技術と知識を磨き、会社を作り、人を育て、組織とネットワークを構築してきた。

そして、絶対の自信を持って、お客様の期待に添える会社となるようにしてきた。私自身は勿論のこと、社員全員で徹底してきた。

厳しい会社だが、誇りは高い。それを目指してきた。

設計だけやるとか、施工をやるとか、いろいろあるが、要は出来たもの、これが全てなのだ。

この戦いに終わりはなり。もっともっと良いものを提供できるよう、これからも頑張っていきたい。

私自身、人生を終わる時、建築家という職業を選んだことを後悔しないように。

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