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2019年4月

2019年4月16日 (火曜日)

あり得ない光景~パリ、ノートルダム大聖堂の火災~

突然、あり得ない光景がテレビの画面に広がった。

911テロでアメリカの象徴が崩れ落ちた時と同じくらいの衝撃が走った。

フランスの象徴の一つ、ノートルダム大聖堂。もう1000年近くもそこにある、歴史的建物。

 

ショックだ。

 

若かりし頃、二か月、フランスにいた。ここノートルダムの近くに宿を取り、

そこを拠点にフランス全土を旅した。

ノートルダムがある、セーヌ川沿いの景色は、それはそれはどこから見ても西洋絵画そのもので、

景色自体が芸術品である。

その一番のシンボルが・・・。

あの美しいステンドグラスも失われたか・・・。

その喪失感は、新しい建物と比較して、比べられないほど大きい。

それは、歴史的建造物は、二度と同じものは作れないからだ。

それは形としては作れるかもしれないが、

その歴史までは作り直せないからだ。

 

建築とは儚いものである。あれだけの価値があるもの、多くの人の努力によって守られてきたものが

一瞬にして失われてしまう。

 

私は、阪神淡路を経験し、我がの事務所も以前、失火で焼失した経験がある。

そして今回の水害でも、多くの建物を失った。

この、二度と取り戻せない、という喪失感。

 

消防設備はどうなっていたのか、ここまで火災が広がる前に、止められなかったのか。

何もかももう遅いのだ。一度失われたものはもう戻らない。

ノートルダムはフランスを象徴する建物だが、否、フランスというより、我々東洋人にとっては

典型的なヨーロッパを代表する建築物、という認識ではないか・・・。

 

残念という言葉だけではいい表せない気持ちだ。

 

 

 

 

 

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2019年4月15日 (月曜日)

大好きな広島美術館へ来ました

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久しぶりに広島に出張した。

仕事の合間に、わずかな時間ができたので、タクシーで直行した。

大好きな広島美術館だ。この美術館は、私の古巣「日建設計」が設計したものだが、建物も素晴らしいが、

展示されている絵が、本当に素晴らしい。

 

 絵は大好きだ。

 

見ることも描くことも。中学、高校と美術部だった。いろんな絵を描いてきたが、

建築をやるようになって仕事で絵を描くのであまり描かなくなったが、子供の時から、ちょっとスケッチをしても

だいたいパースペクティブな絵になっていたし、まわりからはずいぶん褒められたり、賞をいただいたりしたものだ。

特に練習した記憶もない。手前味噌で心苦しいが、こればっかしは生まれながらの才能であろう。

 

いい絵を見ると癒される。絵とは、美とは、それは癒しである。

災害復旧で、自分では気づかないうちに、疲れているのだろう。だからこそ、絵を見て涙が出るほど、ため息が出て、癒される。

物を造る者にとって、絵を見て感動するという感性は非常に大切である。

また、美しい絵を見ることで、感性は磨かれる。

 

丸い外観の建物は、中もその通り、円を描きながら回遊する。館内は全て優しい光がで彩られている。

一つの絵の前に30分以上いた。

ここは本当に優しい絵がたくさんある。

 

私はシャガールが大好きなのだが、あの淡い微妙な色使いは、印刷を見てもわからない、伝わらない。真筆を見て、初めてこのように描いてあるのかと感動する。そして本当の色が伝わってくる。

印刷はどんなに巧妙にできていてもやはり力がない。

私は絵画を購入するときは、あまり高名な画家の絵は買えないとしても、できるだけ真筆を買うようにしている。もちろん美術館にあるような絵は、印刷を買うしかないが、あまり伝わってこない。

絵には描いた人の人生のすべてが注ぎ込まれている気がするのだ。そこから何か心に響いてくる。

 

絵を見るのに、難しい知識はいらない。心で感じるままでよい。

一番大事なのは自分が好きかどうかということだ。

 

そうやってできるだけ、忙しい仕事人生の中でも本物を見て、感性を磨く努力を若い時から続けてきた。

才能は生まれつきのところが大きいが、センスは努力によって磨かれる。

 

 

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