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2019.10.21

水害からの復旧~その4~建築金物について

洪水の被害報道も少なくなってきましたが、いよいよ現地では、復旧も本番となってきていると思います。最初の疲れのピークも来ていると思います。焦っても仕方ありません。無理をするとこれからの長丁場を乗り切っていけません。寒くもなって参りましたので、ぜひ、ご自愛いただきたいと思います。とはいえ、私も、当初は休み暇なく復旧を行っていましたが、疲れがボディーブロー的に蓄積し、半年くらいしてから、体調不良に悩まされるようになりました。

ところで本日は建築金物について書こうと思います。

木造建築で構造上重要な役割を果たしているものに、建築金物があります。梁や柱、筋交い等を結びつける重要な役割をしています。これが損傷を受けると現代の建物は、地震時ひとたまりもありません。昔の在来工法は、大工さんの技で仕口加工し、オスとメスの形でがっちりと、しかもひずみや揺れ、乾燥収縮に追従するように、いい塩梅に固定されていたわけですが、今のプレカット工法の場合、仕口はスカスカで、金物がなければ留まっていません。よって金物でがっちりと固定する前提で、その耐力も計算されているわけです。その金物にもそれぞれ許容耐力がありまして、その規定、設計通りに現場で取り付けてあります。

問題はその金物、金属でできていますので、水に濡れれば錆びます。そして錆びると、耐力が落ちて、役を成さないわけです。通常金物は、濡れる前提でできてはいません。たまに雨漏りや、結露で濡れている場合があります。その程度でもいつも雨漏りがして、たえず雨がかかってしまったところは、錆びていることがあります。それでもこれではいけないと交換したこともありますが、どう表現してよいか、まだそれは綺麗な?錆びなのです(錆に綺麗もなにもないとは思いますが、、、)。ところが、この度のような、汚泥に浸かった金物の場合、しばらくして出てくる錆びは、ぼこぼこに金属が溶けたような、金属自体が変形したような、本当に汚いおぞましい錆びなのです。

私は、水が引いて、洗浄して、しばらくして、恐ろしく錆びてきている金物を見て、当初は驚きました。酷いものです。内壁や床を撤去していますから、全ての建物の金物を外せる限り外しました。その間に地震でもきたら目も当てられませんが。段ボール箱、何倍分、数百個の金物を全て撤去しました。そして、金物を撤去するとその裏側、ボルトやナットの間隅々まで、びっしりと汚泥が入り込み、張り付いている。よってまたそこを洗浄し、消毒しました。それから、地震があってはひとたまりもありませんから、新しい金物を準備して、付け替えました。注意することは、付け替える時は、全く同じ場所だと、ビス穴位置が同じになるので少しづらして、既存の穴位置をずらしてビス止めしないと、しっかり留まりません。

そこまでは順調だったのですが、恐ろしいことに一か月くらいすると、またその新たに付け替えた金物が、場所によっては錆び始めたのです。これには往生しました。乾燥が足りなかったのです。ただ、建物を洗浄して、金物をそのままにしておくと、恐ろしく汚く錆びた金物の錆で、木材も痛むのではないかと思います。かといって、早くに金物を撤去して、新しい金物を入れないと、全く地震耐力的には無防備な状態で、放置することになります。もちろん、金物がないので、周りで解体作業などが被災地では頻繁に行われますから、建物は激しく振動します。それが後々、建物のゆがみ、狂い、クラックにつながります。

結果的には二度目の金物が場所によって錆びたので、そこはもう一度付け替えました。ここからは私の判断ですが、やはり洗浄の時はとりあえず金物はそのままで洗浄する。一刻も早く洗わないといけないので、金物をいちいち外している余裕はないでしょう。そしてしばらくして(最低一か月以上乾燥させた方が良い)、金物を外して、新しい金物に付け替える。この時は金物の裏から洗浄しきれなかった汚泥が出てきますから、その部分は洗浄して、消毒をして下さい。その後、場所によって乾燥が足りなかった木材部分の金物はまた数か月したら、錆びてくるのでそこだけ取り換える。というのが良いと思います。

前回から申し上げておりますが、特別の事情がない場合は、建物の復旧は急いではならない。

真備の場合、店舗ですが、商売再開の為、急いでリフォームをしたのはいいが、カビと臭いが再発し、結局またお店を閉めて、リフォームしなおす事例があり、また住宅でも、早急にリフォームしすぎて洗浄、乾燥が不十分で臭いが消えない事例も見てきました。

くれぐれもご注意ください。

 

 

 

 

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