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2019.10.15

水害からの復旧~その1~台風19号の建築被害、真備の経験から、一番に住宅においてしなければならないこと

長くブログの更新をしていなかったが、この度の台風19号の被害映像を見て、

居ても立っても居られない気持ちで筆をとる。

 

真備の被災者として、伝えたいことがあるからだ。

そして建築家として、建築の専門家として。

 

私は昨年の西日本豪雨災害で、全国的に有名になった真備で被災した。

本社ビル、倉庫や自邸など所有建物5棟が浸水、全壊し、車両も10台を失った。

あれから一年以上が経過し、現在建物は本社ビルをあと少し残してはいるが、ほぼ全面復旧し、

車両もほぼ全て取り戻しつつある。

 

しかし片付けから始まった復旧は、それは筆舌に尽くしがたい苦難の一年であった。

私自身が被災し、建築のプロとして、研究し、考え、実際に建物を我がの手で復旧してきた。

私とて、建築のプロフェッショナルとはいえ、地震についてはかなり詳しいが、

水害について、いかに建物を復旧していくか?なぞということは、

それまでは、考えたこともあまりないし、全くの素人同然であった。

 

世間、建築の研究も、地震のことについては多くの論文等あるが、水害についてはほとんど見当たらないのが

実際であった。

結局、わずかな情報を元に、手当たり次第に、実際にやってみるしかなかった。

そして多くの反省点もある。

 

建築の専門家であり、被災者である私が一番に伝えたいことは、

   建物は急いで復旧すべきではない!ということ。

まず、行政、罹災証明の判定をする役人、火災保険に入っている方は、保険の鑑定人に酷い状況を見てもらうべきだ。

綺麗に片づけてしまうと、軽い被害と勘違いされる可能性がある。

悲しいかな、所詮、判定する人も人間であるから、印象が査定に反映されてしまうのは

仕方がない。

とはいえ、泥は早急に洗い流さないといけないから、痛しかゆしだ。

 

そして私が一番心配したのは臭いだ。

洗浄し、消毒をしても臭いが取れないのではないかという不安。

臭いは?カビは?健康被害は?

そして、リフォームか新築かで迷うのはみんな同じだ。

 

結論を言うと、臭いの心配はしなくても良いです。

そんな情報さえ、当時はなく、聞く人もおらず悩んだものだ。

 

洗浄と乾燥の程度によりますが、私の経験上、現在、全く臭いに関して問題はありません。

とにかく、復旧を急ぐあまり、洗浄、消毒、乾燥が不十分であれば、必ず後で、臭いとカビの問題で

住めない状態になります。もう一度やり直さないといけなくなります。

だから、復旧は急いではダメだ。十分に乾燥させなければならない

芯まで乾かないうちにふたをすると、必ずカビが繁殖する。

 

またあまりに古い家は水に浸かったダメージを相当受ける。

もともと家が脆弱だからだ。

真備では建築後30年を越えていた家は撤去、新築のパターンが多いように思う。

また、集成材やパネル工法で建てられた家は、接着剤が溶けて、復旧できない場合が多い。

私が設計してきたような天然無垢の柱や梁は少々水に浸かっても大丈夫だ。

 

そして私を一番悩ませたのは、建築の技術者として、ありえないこと、通常雨や水に絶対濡れないように

細心の注意を払ってきた室内。もう30年も建築をやっているが、その室内に、水をぶちまけて洗浄するという行為。

洗浄しなければならないとはいえ、高圧のコンプレッサーで室内を水洗いする

これには相当な心理的抵抗があった。

 

今日は概念的な話になりましたが、復旧の、具体的な手法や内容は、今後このブログでお伝えしていこうと思います。

少しでも、私の建築家としての職能と被災者としての経験が、今後水害復旧される方の参考になればと思い筆をとりました。

 

 

 

 

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