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2019.10.16

水害からの復旧~その2~水害を受けた建物の片付け、注意点

台風19号で被災された方は、現在片付けに追われていることかと思います。去年の西日本豪雨は七月七日だったので、片付けも大変でしたが、それ以上に暑さに耐えることがもっと大変でしたし、暑さのせいで臭いも大変なものでした。

今は逆に寒くなり、夜は冷え、避難生活をされている方は、どうぞご自愛下さい。昼間は容赦ない片付けという労働、先が見えない状態で疲れも蓄積してきます。一気にやろうとせず、今日できる分だけ、と考え、長丁場になります。

堤防が決壊した近くの水はまだ綺麗です。もちろん水流で家の被害は大きい。ゆっくりと浸水していった家の場合、いろんなものを飲み込んだ泥水が来ていますから、相当に汚い。ガソリンスタンドが近くにあれば、その油が流失しているし、残念ながら汚水も混ざっている。わずかな量でも、それは相当に臭う。

私たちもそうであったが、テレビの映像では、裸足で歩いたり、素手で作業している方が多く見られるが、ぜひとも完全防備で臨んでもらいたい。

マスクはもちろん、介護用に使うような薄手の手袋をしたうえで、軍手やゴム付き手袋をする。長靴。そしてゴーグル。真備でも作業した後に、結膜炎になったり気管支炎のような症状を発症した人が多数おり、また今後発生するカビで肺を悪くしして通院しなければならなくなった人も多くいた。見えないカビや菌がいることを認識しなから作業すべきだ。水害の汚泥と泥水は川の水ではない。ただの泥ではない。相当に汚い。

私も最初認識がなかったが、この泥水の威力にその後苦しめられることとなった。建築の金物など、通常の雨水がかかった場合とは比べ物にならないような腐り方をする。その対策は後述する。

とりあえず、水害は1m浸かっても3m浸かっても、その復旧手間は大差ない。結局全てやり替えないと根本的な解決はしない。ただ、一階の天井までと、二階の床上まで浸水したかは、雲泥の差だ。一階の天井下までなら、リフォームする気力も沸くが、二階の床までやられると、その意欲もそがれる。一階までならそのまま二階を使用することができるし、二階に上がると今までの生活がそのままできそうな錯覚も持てる。現実はそんな生易しいものではないが。

二階まで水が来ると建築的にも、二階の床を洗うとなるとその洗った水は、一階へ落ちて、結局建物の内壁をほとんど撤去せねばならず、また、電気系の配管も天井裏を多く通っているので、設備系もほとんどやり替えなくてはならない。よってコスト的にも心情的にも新築の選択肢が強くなる。

浸水の程度が、一階の天井下までか、二階の床まできたか、それがおおまかな判断の指標になろう。

私の場合一階の天井下までの浸水、3m程度だったが、三階建ての本社ビル、平屋事務所1棟、二階建て3棟、平屋倉庫2棟、が浸水、全壊した。そのうち二階建て一棟は老朽化もあり、リフォームしたてだったが、解体する決断を早くにした。その他は迷った挙句、自分の建築作品でもあったので、解体するのは忍び難く、また築年数も10年以内のものが多く、リフォームすることにした。私は決断したら、あと迷わず進むほうだが、今回ばかりは、決断してからも何度も、新築したほうが楽だったと、リフォームをやめて建て替えることが頭をよぎった。

通常の方は、決断したら業者に頼んでやってもらうのだが、私の場合は、建築設計事務所であり、建設会社なので、我がの会社で復旧することになるので、変更はいくらでも可能がゆえにずいぶんと悩んだ。

とりあえず、自宅や個人の建物の泥出し、片付けに関しては、行政や国は全く何もしてくれない。これには失望した。当たり前、国民の義務とはいえ、これまで多額の税金を真面目に収めてきた身としては、もう少し支援をしてくれてもいいものを、と思わざるを得なかった。

行政がしたことといえば、出したごみを回収したことだけである。一番しんどかった泥出しや片付けは、己と社員、家族、知人、友人、ボランティアの方々と行うしかなかった。

まさに災害復旧は、現代社会における強制労働だ。やりたい、やりたくない、年齢、立場、健康状態に関わらず、容赦なく、強制労働させられる。これこそ、自然災害の不合理さ、怖さだと思う。

そして、家族や思い出の写真やビデオ。

これも、写真は水につけて保存したほうが良いとか、今考えるとデマが横行して、対策を間違った。実際は泥まみれのまま保存しておいて下さい。これもありがたいことに少し落ち着いた頃に、ボランティアの方々が専門的に写真復旧をしてくれていました。私の場合はほとんどの写真が、自分たちで洗ったり対策をしたが、やり方を知らなかった為に大方ダメになった。これは一番辛いことの一つだ。

また図面や、重要な資料などは、ほとんどが流失、破れ、泥まみれになり廃棄。残ったものは、仕事の合間に、被災後1年たった今だに、少しずつ乾燥し、コピーをとっている。ただし、大半が復旧できない。原因はカビだ。

またデジタルデータは、一番復旧できたものはCDに焼いたもの、その次はSDカード。USBやパソコンのハードディスク、外付けハードディスクはほぼ壊滅である。クラウドにあづけていたものは問題ないが、弊社の場合、まだ多くがハードディスク等に入っていたため、多くのデータが失われた。

ただ、このようにホームページやブログは問題なく動いているのは、情報発信としてはありがたい。

今日はこのあたりで。

 

 

 

 

 

 

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