カテゴリー「古民家再生」の記事

2022年5月 8日 (日曜日)

博多地下街のステンドグラス

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私はステンドグラスが大好きである。

写真は先日出張した博多の地下街である。

自然の光が差し込むわけではないが、このようなステンドグラスが壁に何十枚も組み込まれている。

思わず写真を。

ヨーロッパを旅した時、シャルトルやストラスブールの大聖堂のステンドグラスを見て以来、その美しさに魅了された。

それまでは、何か古臭いような、あまり興味はなかった。

もちろんパリ近郊で、コルビジェのロンシャンのステンドグラスにも感動したわけだが、、、、

なんせ古くても新しくても、美しい。

それからというもの古民家を再生する時には、チャンスがあれば取り入れている。

そのノスタルジックな感じがとても古民家に合うのだ。西洋と東洋の融合とでも言おうか。

新しいものと古いものを上手く融合する事が古民家を扱う時の面白さなのだが、西洋的なものと東洋的なものの融合もまた面白い。

モダンとレトロの融合もまた然り。

ステンドグラスは本物は高価である。もちろんこだわって本物を入れたいが、建築は予算の塊だ(笑)。当たり前だが、予算を合わせることができなければ建築は成り立たない。

よって、模造でもよしとする。

予算が出ない時は、自腹で入れさせてもらう事もある。

本当にない時は、色ガラスで代用することもある。

光が差した時の美しさは何度見てもいい。

私の好みを許して下さるお施主様にいつも感謝している。

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2021年7月16日 (金曜日)

階段、ササラを刻む

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現在取り組んでいる古民家再生も後半戦に入ってきた

いよいよ大工が階段のササラ、段板を刻む

設計でも階段は見せ場、今回は箱階段のイメージでデザインしてある

出来上がりが楽しみだ

最近は、既製品や、プレカットの階段がほとんどの中、手間を入れて、あえて手刻みでヒノキを刻み、階段を組む

墨付けや刻みのできる大工が少なくなっている現在

見せ場に突入してきた

これからが更に楽しみだ

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2018年6月26日 (火曜日)

古民家を修復するとは

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古民家を修復するとは・・・。

この写真を見て、一般の方はどう思うだろうか。

私にとっては見慣れた光景だが・・・。

一般的には、果たしてこれは修復できるのだろうか?

否、修復する意味はあるのだろうか、と考えても不思議ではない。

巷では、物が溢れかえり、わずか建築後30年程度の家も見放され、空き家となり、親の家を直して住む若者はほとんどおらず、新しい家、新しい家を次々に建てる。

大昔から建築士の世界では、住宅のストックだの、再利用だの大上段に構えた議論がなされてきたが、絵に描いた餅。所詮、日本の住宅の大部分は、住み継いでいくような、アメリカ的な住宅事情にはなかなかならない。

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さて、古民家と言われるものは私の中では、建築後80年~100年以上経過したものを指す。その頃以前の住宅はしっかり作りこまれているものが多いし、構造材が生きている。

問題は高度成長期に建てられた家だ。これはなかなかストックたりえない。要は立て直したほうが、見た目も良く、安くていいものができる場合も多い。

ただ、古民家は違う。

修復し再生すると、新築ではでない味が出るので、私は20年前からその価値を見出し、こつこつと取り組んできた。

大々的な再生ばかりが脚光を浴びるし、私もそういう仕事も多くしてきたが、実はご要望としては維持管理、修復が多いのである。

では果たして大々的なそして、また華やかな、大上段に構えた古民家再生と比べて、修復や修理が重要な仕事ではないかといえば、否である。

我々は所詮、資本主義社会の中の申し子であるとすれば、社会の要請や、需要に答えていくのがその道であると思っている。

超、超高齢社会を迎えている今、修復の仕事は重要な社会的意味を持ってくるだろう。引き継ぐ者がいない中、どのように建物の今後を捉え、どのうような提案をしていくか、その真価が問われる時代となる。

放置されて、ぎりぎりで踏みとどまっている古民家。それを施主の今後の人生までをも考え、予算を組み、いかに再生、修復していくか。

限られた予算の中でどこにそのエネルギーを投入するか。何が施主、建物にとって一番いいことか。深い経験と知識をもとに、真剣に考え、提案しなければならない。

過疎化し、高齢化する地方で、自分たちに何ができるのか。

20年間にわたって、陽の目を見ない多くの建物を修復してきた。一つ一つが、毎回毎回、教科書には出ていない実態を伴った勉強であった。

しかしながら、20年経ち、気が付けば自分にしかできない高い修復技術と知識、そしてそれを実行する会社という組織とネットワークが自分にはある。

今までもこれからも、コツコツと、一件、一件、自分の家を扱う気持ちで、勉強、勉強、この道を究めていくのだ。

私は建築を愛し、建築を志し、建築だけを見つめて歩んできた。私には、それしか社会に貢献し、役に立つことができる方法はない。

人ができないといったものを修復し、再生していくのが私の仕事なのだ。

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2018年4月17日 (火曜日)

「秦の蔵」古民家再生 竣工写真アップしました。

C1「秦の蔵」古民家再生。

80年以上経過した蔵を再生しました。

20年近く前に、母屋の再生をさせていただき、この度、二世代に渡ってのご依頼となりました。

事業を長くやっていると、昔のお客様から再度お願いを頂くことも増えて参りました。

これは、まさにまさに、建築家冥利に尽きるのでありまして、気に入っていただけていなければ、次はないわけでありまして、全く有難いお話でありまして、このような仕事は、通常以上に気合が入るわけであります。

最近では、ほとんど全ての仕事を社員に任せておりまして、私が直接お客様にお会いすることは、ほぼ「皆無」であります。

しかし、このような昔私が自ら営業をさせていただき、ご信頼を頂き、また再度ご依頼いただいたようなお客様に対しては、やはり私が直接お会いし、現場を見せていただかなければならないと、改めて思い直している次第であります。

最近では、表に出ず、経営と社員教育に徹しておりましたが、久々に何度も現場に足を運び、この私が魅せられてきた、現場というものの、やりがい、面白さ、というものを改めて思い知らされたわけでございます。

いかなるものであれ、ものを造る、そしてそれが形となる、そしてそれが後世に残っていく。これほどの喜びはないのであります。

本当にお施主様には感謝申し上げます。

充分なことができたかわかりませんが、私の考えうる精一杯のことをさせていただいた次第であります。

気に入っていただけたなら望外の喜びであります。

よろしかったら、「小野コーポレーション」のホームページの項目、「トピックス」または「作品」から入って、見てやってください。詳しく紹介させて頂いております。

よろしくお願い申し上げます。

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2017年2月28日 (火曜日)

大きな古民家再生工事に着工しました。

先日、建築後100年以上経過した古民家の再生工事に着工しました。

民家としては、巨大な建物であり、由緒正しき建築です。特に妻側の矢切り部分の漆喰の細工、破風、そして腰瓦など、100年前の職人が最高の仕事をしています。

腰瓦は破損した時に、他に替わるものがないため、あらかじめ慎重に撤去し、保存し、ナンバリングして、補修してからもとの位置に戻し、再生します。

100年前に贅を尽くして造られた建築。はてさて、我々はそれに勝る仕事ができるのか?否、しなくてはならない。今まで大小合わせて100棟近い再生工事に取り組んできたが、いつも思うことである。これが新しい建物と違う所だ。過去の人の仕事に負けないようにという責任感。

当面、弊社の全スタッフが、この仕事にかかりっきりになるだろうし、ならざるを得ない。採算性はやってみないとわからないのが、これまた古民家再生なのである。私は一級建築士、いわゆる技術者であるが、会社経営者でもある。経営者としては辛い話である。新築のようにほとんど着工時に予算組ができるものではない。

そして採算が取れればいいというような仕事ではない。採算を度外視してもやらねばならないのだ。きちっとした仕事をして、先代よりも立派なことをして、お渡しせねばならぬ。

そうやって18年やってきた。採算性を優先したことはない。一級建築士として、技術屋としてやらなければならないことを、自分の信義におもんぱかってやり遂げてきた。

弊社ができて48年。建築事務所となって18年。

その伝承してきた技術と技の全てを投入して、やり遂げていきます。

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2016年3月16日 (水曜日)

古民家再生2邸、リノベーション2邸をアップ。

小野コーポレーションのホームページ「作品」にて、近作4邸を公開しました。

よろしかったら、ご覧下さい。

「小野コーポレーション」 で検索して下さい。

よろしくお願いします。

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2016年2月 9日 (火曜日)

「足守の家」古民家再生工事 竣工写真アップしました!

昨年取り組んでいた「足守の家」古民家再生の写真を、小野コーポレーションのホームページ「作品」にアップしました。ぜひご覧ください。

この作品は、私にとって特別なものです。

私が日建設計を辞めて独立・起業したばかりの頃に、離れの古民家再生をさせて頂いたお客様から再度、母屋の再生を頼まれ、新たに設計しました。

最初の出会いは、かれこれ15年以上前になります。その当時は世界最大の設計事務所、日建設計を辞めて、慣れ親しんだ大都会大阪を離れ、単身、郷里岡山にて設計事務所の看板を掲げたばかりの頃。

「都会」と「田舎」、「世界最大の設計事務所」と「何の実績もない、吹けば飛ぶような単身設計事務所」。題材も「総工費何百億円の超巨大建築」と「小さな木造住宅」。

このギャップに苦しみながらも、ただがむしゃらに走りだした頃です。

右も左もわからない、とんちんかんな私(たぶんそうだった(笑))に、本当に良くして下さった。このたび、15年前に自分がした仕事(離れ)を久しぶりに見て、施主様に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。その当時の私なりの精一杯だったのだろうが、今の私の仕事と比べたら、こんな仕事しかしてないのに。

多趣味でユーモアがあり、語り口も優しく、退職後の趣味の部屋を造りたいと、色々な夢や趣味のお話をきかせて下さった。

当時、施主様は一言の文句も、クレームも、注文も出されなかった。そして任せて下さり、気持ちよく受け取って下さった。褒めて下さった。

果たして自分ならできるだろうか。まだ30歳そこそこの、何の実績もない、ただ一流企業にいた、というだけの若造設計士に。今考えても本当に有難いと思う。その時、全然仕事などない私に仕事をさせて下さった、あの喜びは今もリアルに思い出せる。

本当に嬉しかった。

そしてその後も、事あるごとに私のことを応援して下さり、ずっと小野コーポレーションのファン、味方でいて下さった。

このような方に私は育てて頂き、今があるのだ。そのことは夢々忘れてはいない。

このたびの母屋の古民家再生では、今の自分なりの最善を尽くさせて頂いたが・・・設計中、工事中、何度も涙がにじむことがあった。

あの頃と比べて・・・

「お前、前よりかは、少しはましなもの造ったな」

と言って下さっているだろうか。満足して下さっているだろうか。

もうそれをお聞きするすべはないが、

僕の「想い」が届いていてくれれば、と思う。

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2015年10月20日 (火曜日)

白い壁をいかに保つか

Dcf00229我々建築家にとって、白い壁をどうつくるか、またそれをいかに綺麗に維持するのかというのは、悩ましい問題である。

コルビジェを信奉している世代として、実際にフランスにも何度か行き、実物を見て考えてきた。

なんせヨーロッパは雨が少ない、というか日本のような高温多湿、台風、梅雨という、そのような雨は降らないということである。

まず、下地だが、鉄筋コンクリートの上に白いペンキを塗るなら普通である。

しかし、なかなか鉄筋コンクリートの家が建たない日本で、木造でそれを表現したい。

となると・・・。

下地の問題。木下地でいかにフラットな面を造るか。下地をきちんとしていないと白だと数年もすると下地が浮き出てくる。パネルで下地をしていると、見るも哀れ、パネルの大きさのままくっきりと枠を描いたように浮き出てくる。

そしてモルタルをいく場合は左官の腕に仕上がりが左右される。漆喰を鏡のように仕上げられる左官にモルタルを塗らさないとまずガタガタになる。特に西日では悲惨なことになる。ガタガタになるだけでなく下手をすると、クラック(ひび割れ)だらけになる。

仕上がったときはまだいいが数年を経過して差が出る。塗装の場合、その種類や材質、仕上げ方も慎重に選ばないといけない。

写真は弊社で施工10年を経過した白い壁である。収縮目地もなしで大きな面積を白で仕上げた。未だにクラック(ひび割れ)なし、下地の形状や目地が浮き出ることもなし、白さも雨だれや、汚れがほとんどなく、この状態。上出来である。

壁からの雨漏りや汚れ。対策の基本は深い庇(ひさし)である。これに勝るものはない。しかし、デザイン上どうしても庇をもうけたくない場合が出てくる。

これは塗装なので防水性に優れるが、漆喰の場合は必ず庇をもうけなければならないと思っている。やはり弱いのだ。雨がよくあたるところは焼き板などでカバーしなければならない。

また、塗装の場合は、下地の動きに追従性が多少あるものがある(弾性)ので、クラックはおきにくいが、漆喰の場合はそうはいかない。全く追従性がない、すなわち弾性がないので、下地をいくら入念に仕上げても、どうしてもそういう意味でクラックが発生する。

できるだけ連続した大きな面積を造らない方がいいが、デザイン上そうもいかないので、クラックがきた場合は、補修するしかない。

ただ、いろいろと試してきて・・・・、今の下地造りや仕上げ方法に自信を持っている。内容は企業秘密だが・・・(笑)。

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2015年7月 2日 (木曜日)

古民家再生工事、進行中。ちょうな。

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Dcf00377現在、古民家再生中の現場。

だいぶ形が出来てきました。

建物の補強の為、新たに地松のタイコ落としの梁を入れました。

見事な梁ですが、大昔からある、「ちょうな」という道具で少しづつ削っていきます。

電気カンナで「ブイーンッ」と削るのと比べて、べらぼうに手間を食いますが、一つ一つの形が手で削った痕(あと)なので、ずい分と味があります。

わざと手間をかける方法でやる。まさに時代と逆行していますね。合理化とか、効率化とか“くそくらえ‘’ですから。合理化=儲かればそれでいいのか?ってことです。

手間をかければかけるほど建築は良くなる。

どんなにカッコつけても、ぱぱっとやっちゃうとろくなものにはならぬ。

手間を入れる。だから、出来上がると「みごみ」もあるんです。

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2015年6月16日 (火曜日)

「玉島の蔵」古民家再生 写真をアップしました

小野コーポレーションのホームページに「玉島の蔵」古民家再生の写真をアップしました。写真をご覧いただくにはホームページの「作品」の項目から入って下さい。

建築後100年以上経過し、かなり老朽化した蔵です。弊社の場合、蔵の再生のご依頼を頂くことは、昔から結構多いのです。

蔵の古民家再生というと、その中を、ギャラリーや部屋として使うことを希望される再生が多いようなイメージかもしれません。雑誌などで紹介されるのはそのようなパターンです。話題性もあります。

しかし、意外にも、圧倒的に多いのは、やはり蔵は蔵として、倉庫的に使用する、というものです。これも立派なそして重要な再生ですね。

蔵を再生する場合に難しいのは壁です。ご存じの通り、古い蔵は耐火、防犯上の面から、かなり厚い土壁がついている。今の建築基準法では耐力壁としてたいして評価されないですが、私から言わせれば蔵は「壁でもっている」のです。

ですから雨漏りとかで散々痛んだ壁をどう評価するかが一番の問題です。壁の土が生きているか、死んでいるか、死んではないがどの程度損傷しているか。それを判断して補修をしないといけない。

本当に駄目な土は「死んでいる」のです。どのような土が生きていて、どのような土が死んでいるのか?それは経験がある者にしかわかりません。

それを判断した上で、どの程度土を再生するか、補修するか、モルタルを入れるのか、ラスを入れるか、など決めていく。また、建物の内部側には、耐力壁を構成していく。また床を張り水平耐力を確保していく。耐力壁を構成するのに、蔵の柱はたいてい扁平なものや丸、異型の物を適当に使っている場合も多いので、そこをどう補強して耐力を持たせるか。いろいろな経験とノウハウがものを言います。

案外に大金をかけて建築家に再生を頼む、というような仕事より、このような地道な保存活動に近いことを長くやってきた。それが今では私のノウハウとなっている。設計から施工で学ぶことも多い。

若いころは、与えられたものに真しに向き合い、仕事を選ばすやってきた。それが力と自信になっているのだ。

派手な再生でなく、保存のような再生。

それでも全て撤去して、ハウスメーカーが建つ、無機質な柄のサイディングが並ぶ街並みよりは、多少なりとも景観に貢献するのではないかと思ってやっている。

このたびも全部撤去になるかもしれないところを構造補強することで、再び利用できることを提案し、半分だが、古いものを残せた。

100年以上も前の祖先が造ったものだ。これをご子息が大切にお使いになる。

お施主様の“ご英断“に拍手を送りたい。

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